空き家の解体で固定資産税が6倍になる?!
更地にすれば固定資産税等がどれだけ変わるの!?
「更地にすれば固定資産税等が高くなる」という理由で、老朽化した空き家を取り壊さない方が多くおられます。実際、一般的な住宅(空家も含む)について、その敷地(200㎡以下)に対しては小規模住宅用地の特例により、固定資産税の課税標準が1/6に減額されます。しかし、建物(空家も含む)が取り壊されて更地になれば、その特例を受けることができなくなります。特に空家の場合、築年数が古い物件が多いことにより、家屋の固定資産税等額は低いため、取り壊すことで建物の固定資産税等が無くなる代りに、更地になった土地の固定資産税等が上がるよりも、そのままにしておく方が良いという考えは、ある意味当然かもしれません。
空家でも現に存していれば住宅用地の特例が適用される。
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それであれば・・。
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空家を取り壊さずにそのままにしている方が固定資産税が安い。
平成27年2月26日に施行された「空き家対策特別措置法」では、地方自治体が指定した“特定空き家”に対しては、固定資産税の住宅用地の特例対象から除外となることとなりました。(“特定空き家”とは、地方自治体が調査を行い、管理が不十分である空家等であるかどうかについて市町村が調査します。そのうえで、“特定空き家”に該当する状況の場合は、その所有者等に対して必要な助言や指導を行い、それでも所有者等が履行をしない又は履行をしても十分でないとき又は期限までに完了する見込みのないときに勧告します。)
住宅用地の特例の有無による固定資産税等の総額の差は?
固定資産税等の住宅用地に対する特例措置
住宅用地の特例を受けた敷地と、特例が適用されなくなった土地と比較した場合、どれだけの差額が出るのでしょうか。よく「更地にすれば、住宅用地の特例が適用されなくなるから、固定資産税等が6倍になる!」という話を聞きます。確かに、上記説明の通り、固定資産税について、小規模住宅用地の特例では固定資産税は事実上6分の1となります。しかし、実際に納付する固定資産税等には「固定資産税」と「都市計画税」の合計額となり、特例による減免率がそれぞれ異なることから、現実には6倍にはなりません。
小規模住宅用地 (1戸につき200㎡以下の部分) | 一般住宅用地 (200㎡超の部分・床面積の10倍まで) |
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固定資産税の課税標準額 | 1/6に減額 | 1/3に減額 |
都市計画税の課税標準額 | 1/3に減額 | 2/3に減額 |
例)200㎡以内の空家の敷地で、その固定資産税評価額が1200万円の場合(住宅用地の特例の有無による差額)
①住宅用地の特例有り
<固定資産税> 1,200万円×1/6×1.4%=28,000円
<都市計画税> 1,200万円×1/3×0.3%=12,000円 合計40,000円
②住宅用地の特例無し
<固定資産税> 1,200万円×70%(負担標準)×1.4%=117,600円
<都市計画税> 1,200万円×70%(負担標準)×0.3%=25,200円 合計142,800円
142,800円÷40,000円=3.57(倍)の差
尚、住宅用地の特例を受けている場合は、空家に対する建物の固定資産税等も課税される為、事実上「3倍」程度の差額ではないかと思われます。
今後、益々空き家が増えれば、“特定空き家”だけに留まらず、空き家全般に対しての固定資産税の優遇措置が無くなることも懸念されます。将来を見据えた活用・利用を検討しましょう。