空き家・空き地の相続
空き家や空き地の相続の場合「とりあえず共有名後にしておこう」はキケン!
空き家・空き地を相続する場合、基本的には相続の権利者全員で「誰が」「何を」「どれだけ」相続するのかを協議します。これを「遺産分割協議」といいます。
この遺産分割協議が終了するまでの間は、原則、相続人全員の共有となり、また、遺産分割協議が整い、「遺産分割協議書」を作成して、空き家や空き地の相続人を決定します。
この時、一件の空き家について全員の共有名義にすることも当然可能ですが、その空家の将来の利用や管理・処分等、今後の行く末のことを考えた場合、単独の名義にすることをお勧めします。理由は、単独名義の方が将来的に空家等の活用や処分・建物解体・改装等容易に行うことが可能だからです。
共有名義(2人・3人・4人・・・)の場合、共有者全員の意思確認・統一のもと、物事を一つ一つ進めていかなければなりません。又、共有者全員の意思統一を図ることが出来ればまだ良いですが、共有者間で意見や考えが異なったり、共有者の誰かが連絡がつかずに意思確認をとることができなければ、物事を進めることはできません。その他、共有者の一人に対して新たな相続が発生し、その新たな相続人が複数名の場合には、共有者が増えて更に意思統一を図ることが困難となり、空き家や空き地が“塩漬け状態”となってしまうケースがあります。
共有不動産に対する悩み・問題点
- 共有不動産の売却や賃貸活用にあたっては、他の共有者の同意が必要。
- 共有者間で利害が対立する場合には調整が困難である。
- 共有持分の単独売却は難しいことから、簡単に資金化できない場合がある。
- 建物のリニューアル、建て替えも共有者全員の同意が必要となる。
既に、遺産分割協議により、共有名義としている空き家・空き地を保有されている場合は、共有者の関係が良好なうちに換金・処分を行い、キャッシュで分配することをお勧めします。その他、以下のような対応をご検討下さい。
- 資金的に余裕のある共有者が、他の共有者からその持分を買取る。
- 共有不動産が複数ある場合は、「持分の交換」を活用し、単独名義にする。
尚、空き地の場合は、土地自体を分割する方法もありますが、分割後の土地形状やその他条件などによって、資産価値を損ねてしまう場合がありますので、注意が必要です。
現在の空き家・空き地問題の原因の一つには、「共有者全員の意思統一が図れず放置している」というような背景があるのです。
被相続人(ご両親等)が当時に取得した書類等の確認を行いましょう
相続した空き家や空き地について、将来、売却・処分を行う時の為に、被相続人(ご両親等)が当時取得した価格や諸費用明細などの関係資料を出来るだけ集めておきましょう。
当時に取得した価格は、売却の際に課税される不動産譲渡所得税に大きく影響を及ぼす場合があります。
売却時に課税される不動産譲渡所得税の計算方法は
譲渡価格-(「(当時の)取得費」+「譲渡費用」+「特別控除」)×税率
となります。
この「(当時の)取得費」とは、課税対象者がその不動産を取得した価格及び諸経費の合計となりますが、相続にて取得した場合は、被相続人が当時に取得した費用を引き継ぐこととなります。
また、「(当時の)取得費」が不明な場合は、譲渡価格に対する5%と定めらており、譲渡所得金額が高くなる場合があります。
例)
譲渡(売却)価格2000万円の場合 ⇒ 5%・・(当時の)取得費は100万円
※当時の取得費が低ければ、上記の計算式上、課税対象となる譲渡所得金額が高くなります。
被相続人が取得した年月によって異なりますが、実際に取得(例えば購入)した費用の方が、譲渡価格の5%よりも高い場合が多く、当時に取得した費用が不明なために高額な譲渡所得税を納めなければならないケースも出てきます。また、当時に取得した費用などが記載されている書類については、正式な書類が保管されている方が望ましいですが、原本でなくてもコピーやその他メモ書きなどでも構いません。出来るだけ、当時の取得した価格などが記載されている書類の確保に努めましょう。
※譲渡所得税計算に伴う「(当時の)取得費」について、建物(家屋)の費用(評価)については、減価償却した残存分についてのみ計上可能です。
当センターでは、空き家・空き地は勿論、その他不動産相続のご相談についてもお受けしております。どうぞお気軽にお申し付け下さい。