マイホーム購入のご検討にあたり、中古の木造一戸建住宅等を見学したときに
品質などの懸念によって購入を躊躇したことはないでしょうか。
現状のいわゆる「中古住宅」は、品質や性能などの適切な情報提供が行われておらず、
見た目や営業マンの口頭での情報だけで購入判断を行わなければならない状況です。
そこで、国土交通省は、スクラップ&ビルド政策(新築主導型)からストック住宅政策
(既存・中古住宅主導型)への住宅政策転換に伴い、「中古住宅」の流通を促進していくために
新たな制度の創設を行っています。それが「安心R住宅」制度です。
「安心R住宅制度」とは・・・
正式名称は「特定既存住宅情報提供事業者団体登録制度」です。一定の要件を満たす既存住宅について、
国が登録した事業者団体を通じて「安心R住宅」の商標を広告販売時に付与できる制度です。
◆「安心R住宅」の要件
(1)「不安」の払拭
・現行の建築基準法の耐震基準に適合するもの又はこれに準ずるもの。
・既存住宅売買瑕疵保険契約を締結するための検査基準に適合したものであること。
・管理規約及び長期修繕計画を有するとともに、住宅購入者の求めに応じて情報の内容を開示すること。
(2)「汚い」イメージの払拭
・事業者団体毎に「住宅リフォーム工事の実施判断の基準」を定め、基準に適合した
リフォームを実施し、従来の既存住宅の「汚い」イメージが払拭されていること。また、
リフォームが実施されていない場合は、リフォームに関する提案書(費用に関する内容を含む)
を付与するとともに、住宅購入者に求めに応じてリフォーム事業者をあっせんすること。
・外装、主たる内装、台所、浴室、便所、及び洗面設備の現況写真を閲覧できるようにすること。
(3)「わからない」イメージの払拭
・下記について情報収集を行い、広告をするときに、当該住宅に関する書類の保存状況等を記載した
書面を作成・交付するとともに、住宅購入者の求めに応じて情報の内容を開示。
※内容:「建築時の情報」「維持保全の状況に係る情報」「保険又は保証に係る情報」
「省エネルギーに係る情報」「共用部分の管理に係る情報」その他。
上記の要件は、国土交通省が行った「住宅購入検討者が中古住宅を検討する際に懸念となっている
ことについてのアンケート」を基に、「不安」「汚い」「わからない」というワードから、
内容を細分化して決定したものです。
この制度は、来春から開始されるようですが、制度開始後の普及については、徐々に「安心R住宅」
のロゴが付いた中古住宅が流通していくのではないかと思われます。
この制度だけでは、中古住宅購入検討を行うための情報集として十分ではないですが、
公的機関が優良認定を行うことによる意味や役割は大きく、購入検討者にとっても一つの
判断材料となるのではないでしょうか。