コラム

COLUMN

近年、不動産の売却相談で、心理的瑕疵の検討が必要なご相談案件が増えています。

そもそも、不動産の「心理的瑕疵」とは・・・

先ず、一般的に言われる「瑕疵」とは、表面的には見えない
(隠れた)“欠陥(けっかん)”のことです。
不動産売買では、「瑕疵担保責任」という言葉がありますが、
売却後、売買物件に不具合が見つかった場合、
一定期間内であれば売主の責任にて修復義務等を負うことを
「瑕疵担保責任」と言います。

上記の通り、一般的な「瑕疵」とは物件の物理的な欠陥や
不具合のことを差しますが「心理的瑕疵」とは、
一般的に考えて、人が心理的抵抗や嫌悪感を抱くと想定される
出来事が建物やその敷地内にて発生した事実を言います。

例えば、建物内で事件や事故が起こった(自殺・他殺等)等です。
近年、高齢化社会に伴い、高齢者一人暮らしがもたらす孤独死も
対象とされるケースがありますが、内容によって見解や判断は様々です。

少し露骨な話になりますが、夏場に1ヶ月以上も気づかず、
死体が腐敗した状態で発見された場合などは、
明らかに「心理的瑕疵」の対象となりますが、
前日に電話で話をしたが、翌日訪問すると亡くなっていた・・、
などは心理的瑕疵には該当しないのではないかという見解や解釈も
近年では増えつつあります。

いずれにしても売主から見た場合、
当該物件が心理的瑕疵物件に該当するか否かについての
実質的な影響は「価格」です。
出来事の内容によって異なりますが、大事件であれば評価に対する影響は大きく、
又、比較的容認できるような内容であればあまり評価には影響しないという
イメージですが、具体的な評価指針があるわけではありません。
また、その出来事が心理的瑕疵に該当するのか否かの判断基準も特にないことから、
事後のトラブルを未然に防ぐため、予め買主側へは出来るだけの事実を
伝えることが望ましい、と実務上では言われています。

売主様(相続人)からすれば、親族の不幸があり、
その上に対象不動産(空き家・空き地)が「心理的瑕疵」物件として
取り扱われてしまう二重の苦悩を受けることとなりますが、
私たちがご相談を受けた方々のご意見では、
「対象不動産の売却は、心情・気持ちをリセットするためには必ず必要なこと」
と言われる方が多くおられます。

心理的瑕疵と思われる案件相談は、私たちもご相談者の事情や背景を勘案し、
また、できる限りご意向に副いながらお手続きを進めていくよう心がけています。

2018年11月11日
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