コラム

COLUMN
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令和元年5月17日、「所有者不明土地」問題を解消する目的にて、
『表題部所有者不明土地の登記及び管理の適正化に関する法律』が成立しました。

「不動産は資産の代表格」といわれ、多くの一般個人や法人が土地を所有し、
資産として利用しています。
しかし、不動産は個人の所有物であるのと併せて、地域の共有財産という側面も有していることから、
所有者が不明となり“放置”や“野放し”にされることで、地域にとっては“厄介な代物”となってしまいます。

年々増加傾向の「所有者不明土地」について、その問題を解消するための新しい法律とは、
どのような内容なのでしょうか。

・新たに成立した法律のポイント。

先ず、「所有者がわからないために、土地を利用できない」という問題を解消するために、
『所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法』(所有者不明土地法)が成立しました。

ポイントは
①所有者の検索方法を明確化したこと。
(現在の所有者を探すために、市区町村に戸籍や住民票の提出を求めることができるようになった。)

②所有者不明の土地を円滑に利用できるようにしたこと。
(検索の結果、所有者が分からなかった土地を公共事業での利用の手続きが簡略化されたり、
地域住民のための施設を才だい10年間設置することが可能となった。)

次に、『表題部所有者不明土地の登記及び管理の適正化に関する法律』
(令和元年5月17日成立)が公布されました。

具体的には、
①所有者不明土地の登記の適正化を図るため、登記官に所有者の検索のために必要となる調査権限を与え、
所有者等探索委員制度を創設し、所有者の検索結果を登記に反映させるための不動産登記法の特例を設ける。

②所有者の検索を行った結果、所有者を特定することができなかった所有者不明土地について、
その適正な管理を図るための措置として、裁判所の選任した管理者による管理を可能とする制度を設ける。

上記の中で、特に注目すべき点は、裁判所が選任した管理者による管理が可能になったことです。
この「適正な管理」とは、敷地内に生い茂った草木の除草・伐採などです。
また、一定の条件のもと、管理者の判断によって所有者不明土地を売却することも可能となりました。
この場合、売却代金は所有者が現れたときに返金できるよう供託しておくことになります。
そして供託金が時効となれば国庫に帰属する仕組みとなっています。

根深い社会問題化となっている「所有者不明の空き家・空き地問題」、
ここまで強制力をもつ仕組み(法律)が制度化し、やっと本格的な対策が行われるようになり始めました。

2019年10月12日
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